図面のない古い金型を新しくすることで見えてくるメリット

「この金型、もう図面が残っていないので、現物を見ながら直すしかないんです」

弊社には、こういったご相談が最近特に増えてきました。長年使われてきた金型ほど、当時の設計図面やCADデータが手元に残っていないことが多いようです。担当者が変わったり、当初お願いしていた業者と連絡が取れなくなったりする中で、いつの間にか「図面なしで現物合わせで直す」状態が当たり前になっているケースも少なくありません。

図面がなくても、修理そのものはできます。ただ、修理を繰り返すたびに、現物の状態や過去の記憶に頼る場面が増えていきやすいというのが、実感です。

この記事では、緊急事態の話ではなく、「図面が残っていない古い金型」というテーマに絞って、「新しく作り直すことでどんなメリットが生まれるのか」をご紹介します。

目次

図面のない古い金型を使い続けることで、見えにくいリスクが積み重なっていきます

「壊れた部分だけ直せば、また使える」という判断は、図面があってもなくても変わりません。ただ、図面がない状態で修理を繰り返していると、次のようなことが起きやすいのが実情です。

  • 修理のたびに現物合わせが必要になる
    どこまでが正しい寸法だったのかを示す基準がないため、目視や感覚での判断に頼らざるを得ない場面が増えていきます
  • 精度のブレに気づきにくい
    修理を繰り返すたびに、少しずつ元の設計値からズレていっても、比較する図面がないため、変化そのものに気づきにくくなります
  • 対応できる業者が限られていく
    長年同じ業者・同じ職人に頼ってきた関係が途切れると、他の業者に相談しても「図面がないと引き受けにくい」と言われてしまうことがあります
  • もしものときの選択肢が狭まる
    取引先の廃業・倒産などが起きた際、図面がないと移管や引き継ぎの難易度が大きく上がってしまいます


Point!

図面がない金型は、修理そのものはできても、「今の精度が設計値からどれくらいズレているか」を確かめる基準がないまま、修理を繰り返していることになります。

こうした見えにくいリスクを踏まえたうえで、次に「図面のない金型を新しく作り直す」ことで、具体的にどんなメリットが生まれるのか、弊社の実績を少しご紹介します。

図面のない古い金型を作り直すメリット

図面がない金型を作り直すというと、「今の状態を測るだけでも大変そう」というイメージがどうしても先に来てしまうかもしれません。

ですが、作り直すタイミングでデータを整備しておくことは、費用以上の安心につながることが多いようです。

金型を更新すると次のようなメリットがあります。

1. メンテナンスが可能になる

次に修理が必要になったときも、どの部分がどれだけ摩耗しているのかを確認し、その傷んだ部分のみのメンテナンスで、生産が再開できます。

2. 不良品・材料ロスが減る

図面がない状態で修理を繰り返した金型は、どれだけ摩耗が進んでいるかを正確に把握しにくいものです。新しく作り直すことで、設計通りの精度に戻り、不良品率や材料の歩留まり(使える材料の割合)が改善することがよくあります。

3. メンテナンス性の高い構造にできる

図面のない金型を測定・解析するタイミングは、構造そのものを見直す機会にもなります。「ダイインサート(入れ子)仕様」――傷んでいる部分だけを交換できる構造――を新たに採用すれば、以降のメンテナンスも図面ありの状態で計画的に進めやすくなります。

Point!

図面がない金型の作り直しは、「今の精度を戻す」だけでなく、「次からは図面を基準に判断できる状態を作る」ことでもあります。初期投資はかかりますが、ランニングコストを考えるとメリットが大きくなります。

図面が残っていない金型のご相談は、少なくありません

弊社にも「何十年も前に他社で作られた金型で、図面が残っていない」というご相談をいただくことがあります。多くの場合、現物と成形品の形状を測定した上で設計データを新たに作成し、そのデータをもとに修理または作り直しを判断しています。

  • 単純形状の単発型の金型において、現物からCADデータを新たに作成し、摩耗した部分だけを作り直したケースがあります。
  • 作り直しのタイミングでダイインサート仕様に変更し、以降のメンテナンスをしやすくしたケースなど、実績は多数あります。

図面がない状態でも、現物を見ながら一緒に判断させてください

図面がない古い金型を「直すか、作り直すか」という判断に、絶対的な正解はありません。ただ、植木製作所がこれまで数多くの金型を拝見してきた経験から言えるのは、

  • 図面がない金型を修理し続けると、精度のブレや対応業者の限られやすさといったリスクが見えにくい形で積み重なりやすい
  • 新しく作り直す際にCADデータを整備しておくと、次の判断がしやすくなり、もしものときの選択肢も広がりやすい
  • 判断は「今の摩耗の範囲」だけでなく「今後どれくらい使う予定か」まで含めて考えると整理しやすい

ということです。

「図面がないので、そもそも何から相談すればいいかわからない」という段階からでも、現物を拝見しながら一緒に判断させていただくことができます。図面のない古い金型について、お気軽にご相談ください。

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